遊戯(ゆげ)アート宣言
大木会の造形・創作活動 ~ 遊戯(ゆげ)アートの世界 ~
大木会での造形・創作活動は、できるだけ指示指導は避け、すべてを利用者に任せ、それぞれの力で自由に取り組んでもらうようにしてきました。それは、
指導者の介入がなければないだけ、利用者たちの自発性や独自性が発揮されるからです。あらゆる束縛から解放して、内面から自然に生まれてきた作品にこそ価値を見出してきました。その過程を“底流からの流露”と言っています。
一部の突出した才能のある利用者の作品のみを評価するものではなく、利用者の障がい程度の軽重にかかわらず、誰もが楽しんで自分自身の思いや内面を表現できる機会やその環境、個々に適した素材、人との出会いや喜びを提供できるよう取り組んできました。
利用者たちの造形・創作活動は、生活のただ中にあります。生活から切り離されてはならないのです。生きることが作ることを促し、作ることで生きているのです。生活することと作ることは重なっているとも言えます。生きることの一刻一刻を作品に刻んでいると言ってよいでしょう。それは、利用者の誰にでもある、積極的な活動であり、そのような活動を遊戯(ゆげ)と捉えています。
従って、できる人だけが脚光を浴びるものではなく、健常者の既成概念に合わせるのではありませんし、ある種のものさしを持ってふるい分けをするというものでもなく、作品が生まれても生まれなくても、作品になってもならなくても、すべてを受け入れ、認めていくということであります。
利用者の純粋なエネルギーを純粋なまま受け止め守り抜くことが、それぞれの暮らしと活動を守り続けることの条件であり、心の赴くまま自由に出したいものを出せる、そういう環境を提供していくのが私たち施設の役割だと思っております。
共に生き、共に育ちあう日常の暮らしの中から湧き出てくる利用者それぞれの様々な気持ちが、表現されています。どうぞ、利用者個々の内面が素直に表出された遊戯(ゆげ)の世界をお楽しみください。
2017年4月
社会福祉法人大木会
一麦・もみじ・あざみ