「あれ?今回の標題と中身が違うじゃないか!」とみなさん思われていますよね。
今回は「どんぐりメダル」のことがテーマですもんね。
実は「年譜・著作目録」17ページ、1951(昭和26)年11月の項目に
「創立五周年記念式で、石田文孝表彰、「どんぐりメダル」を制定、第1号を授与」
とあります。
それで、長い前フリでしたけれども「年譜・著作目録」についての経緯を先に紹介したわけです。
というのも、「どんぐりメダル」の記述があるのは、この「年譜・著作目録」だけなんです。
著作集などをそんなに深く読み込んでいない浅はかな見識ではありますが、筆者の知る限り他のどこにも「どんぐりメダル」は書かれていないと思います。
例えば「近江学園年報」第4号の巻末「学園日誌」11月17日の項目には、おなじように
「創立五周年記念式 祝賀会 第二回保護者会 里子里親会 同窓会 旧職員会 石田文孝表彰式」
とあるのですが、「どんぐりメダル」の文字はありません。
しかし「年譜・著作目録」のオリジナル「著作集」第3巻の巻末には「どんぐりメダル」の記述があって、三代目の青本もそれを引き継いでいるわけですが、いったいどこから引用されたのでしょう。
これは、「糸賀一雄著作集刊行会」の当時の活動に迫るお話しなのかもしれません。
だって「刊行会」で著作集編集に携わった方々は、南郷の近江学園で糸賀とともに活動し、生活した人たちだったのですから・・・。
「刊行会」のメンバーが編集作業中、年譜の中に「石田文孝表彰」の記述を見つけたときに「そういえば、この時にメダルを作ったよなぁ」とか、「だったら制定したことを項目に入れておこうか」とかいうような会話があったのかなぁ・・・と想像をふくらませてしまいます。
これは、あくまで筆者の想像ですがね。筆者にとっては「謎」のひとつなんです。
ただ、実物は一碧文庫に収蔵されていました。写真がそれです。
不問庵のなかに糸賀の蔵書を収めた書庫がありますが、そこにあった机、以前に紹介した「蔵書印」と同じ引出しにあったものです。
「どんぐりメダル第四号」と墨書(糸賀の自筆?(未確認))された桐の箱に収められていて、首に下げる白いリボンの先に蝶ネクタイのようなエンジ色のリボンが付き、メダルが付けられています。直径は4センチほどでそんなに大きくありません。「表彰」の文字に挟まれて中央に金色のドングリがあります。裏面は「近江学園」の刻印と数字の「4」が打刻されています。数字はおそらく第4号という意味でしょう。
糸賀がもらったものなのでしょうか。それとも別に何かの経緯があって不問庵に残されたものなのか。書かれたものがないので詳しい由緒はわかりません。
筆者は以前、「どんぐりメダル」は、大人も子どもも関係なく授与されていた…と、聞いたか、読んだかしたような記憶があります。
誰からだったのか? どこでだったのか?
もしもこの「第4号」が糸賀に授与されたものならば、園児の石田さんが第1号で、2人おいて「大人」の糸賀がもらったことになり、誰かに聞いたのか、何かを読んだのか、定かではないあいまいな記憶も正しかったのかなと思っています。
資料や記録の面でも、実物にしても「謎」の多いメダルです。
実物があっても、由緒がわからなければ宝の持腐れ。
「著作集」や「年報」「南郷」などを読み返してみて、じっくり調べてみたいと思います。